CL
そういえば、コイツ私に宣戦布告してたんだっけ。
負けたのか、私。
なんて思ってから、とっくに負けてた私に勝ち目なんて最初からなかったんだって思った。
悔しいけど、蓋を開けてしまえばそれが事実なのだ。
否定しようがない。こんなにドキドキしてしまえば、否定する余地なんて私にはどこにもない。
否、否定できないくらい、黒崎に落ちているのかもしれない。
黒崎は私が口元を隠す方の手も取って、私の顔を覗き込むように腰をかがめる。
「先輩、顔、見せてください」
「……ヤダ」
「意地っ張りな先輩も可愛いですけどね」
「なっ…!」
何を言ってるの!
言われ慣れない言葉を言われて、弾かれたように顔を上げてしまった私は、すかさず伸びてきた黒崎の手に頬を捕らわれた。
まだまだりんごみたいに赤い私の顔を、黒崎はじっと見つめる。
見つめられることに不慣れな私は、あまりの気恥かしさに目を逸らす。
より一層、顔が赤くなるのが手に取るようにわかった。
「だ、だから、見ないでってばっ…」
「ヤです。今の先輩、すっごい可愛いんで」
「な、何言ってっ…!」
「じゃ、見ないですから、代わりにご褒美くれません?」
「ご、ご褒美…?」
「だって勝ったの俺ですから」
「…な、何が欲しいのよっ……」
「せんぱい」