CL
「じゃあもう一度言いますけど」
「うん」
「昨日の夜一緒に歩いてたのは、妹なんですよ」
「………………。はあ!?」
やっと出てきたのは、そんな大声だけ。
二度目にしてようやく理解してくれた私の脳は、遅ればせながらもきちんと驚きを露わにしてくれたようだ。
だって、そりゃあ、驚きもする。
昨日の夜、黒崎と一緒に歩いていたのが、黒崎の妹だったなんて、そんな、そんなドラマみたいなこと、あっていいわけ?
「…信じられない……ほ、本当に、本当に妹…?」
「だから、そう言ってるじゃないですか」
「う、うそ…え、うそ……え、え……」
どうしても信じられないというか、納得できないというか。
ここで納得してしまったら、さっきまでひとり、悩んでたのがバカみたいに思えてきてしまうじゃない。
私がカーペットの上に座ったまま「うそ、うそ」と繰り返す様を見て、さすがの黒崎も本気で呆れてしまったようだ。
「……まあ、信じないなら、信じなくてもいいですけどね。俺は嘘ついてませんし」
「…そ、そんないい加減な…!」
「っていうか、先輩は俺が嘘つく人間だって思ってるんですか」
「ち、違うけど……」
「じゃあ俺が浮気するような人間だと?」
「お、思ってない……」
それはすべて本当だ。