CL
「…な、な……!」
「最初は気になる程度でしたけど、見てると面白いんですよ。クールな人なのかなと思ってたら、どこかでドジするでしょ、先輩」
「うっ……」
「でも、その割には誰にも頼ろうとしない」
「…………っ」
「隠すことは得意で、曝け出すことは苦手」
「…………っ」
「放っておけないんですよ、先輩は」
「…………っ」
「そう、思った時にはもうとっくに好きでしたよ。先輩のこと、最高に」
「……黒崎く…」
「まだ伝わりませんか?」
もう、いい。もういいよ。
十分伝わった。っていうか、あの日だって十分伝わってた。
だからもう、いいのに。
それ以上そんなことを言われたら、私は本当に死んでしまう。
心臓が、もたなくて。
なのに黒崎は、そんな私に手を伸ばし、ぎゅっと強く、けれど優しく抱き締める。
雨に濡れていまだ乾ききっていない彼の髪の毛が、私の頬にそっと触れて、いっそう鼓動が高鳴った。
「……これでも、伝わらないですか」
「……もう、十分…伝わってるよ、バカ」