CL
ピシッ!と。
風を切る音と共に、会長は袋から取り出したポッキーを俺に向かってまっすぐ突き出した。
思わず仰け反る。会長は得意気だ。
「キミが何か面白いことをしてくれたら、わたしも仕事を手伝う。これこそ名案であろう」
「……おもっきし俺が不利ですけどね」
「なんだね少年。せっかくわたしが仕事を手伝うと言っているのに、何か文句でもあるのかね」
「いいえまったくございません心の底から感謝します!」
くっそマジないわこの人。ホント何様だよ。女王様だよ。勝てる気なんかさらさらしねーよ。別にいいよ可愛いから。
これが俗にいう、惚れた弱味ってヤツだと思う。
だいぶハンデだ。痛いくらいにはハンデだ。
このハンデは会長が俺に惚れてくれるまでずっと続くと思って間違いない。惚れさせる自信とか皆無だけど。
お願いです会長マジで俺に惚れてください。っていうかチョコください。
「そういえばキミはチョコレートを貰わなかったのかね」
「……いえ、もらいましたけど」
「ここにすべて出すがよい、話はそれからなのだ」
「まさか食べる気!?」
「別の袋に入れるほど貰ったのなら少しくらいよいではないかチョコレートー!」
「ダメですさすがにくれた子に悪いです!」
「……ふむ。なるほど、すべて本命なのかね。だからくれないのかね。死にたまえ」
「え、なんですか、もしかして妬いてるんですか?」
「むがーっ!」
「ちょ、会長それチョコじゃないです空き箱です!」