風神Ⅱ
二人の間に沈黙が流れる。
その沈黙を簡単に破ったのは馨だった。
「本当はお前も行きたかったんじゃねぇのか?」
「……なんのことだ。」
風雅は横目で馨を睨む。
だが馨はそんな視線に怯むことなくただ前を向いている。
「真城のこと探しに行きたかったんじゃねぇのってことだよ」
そう言って馨は風雅に視線を移した。
馨の確信したような目付きに風雅は黙ることしか出来ない。
行きたくなかったと言えば嘘になる。
だが、もし真城が一人で戻ってきた時に一番最初に視界に入るのが自分であってほしい。
少しでも長く真城の瞳に写ることが出来たら…
少しでも長く真城の側にいることが出来たなら…