風神Ⅱ




鍵を開けて入ってきた修人と目が合う。




「…暇。」




あたしは下から修人を睨むようにして言い放つ。




「恋愛漫画でも持ってきてやろうか?」




「そんなもん持ってきて目キラキラさせながら読むと思ってんの?」




「………思わねぇ。」




「だったら最初から言うな。」




「なんで人質のお前が上から目線なんだよ。」




修人は苦笑いしながらあたしの前にパンを置いた。




あたしは小さくお礼を言いながらパンを口に運ぶ。




あたしがパンを食べている間、修人は煙草を吸いながらどこか遠くを眺めていた。








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