風神Ⅱ
黒沼と言う男
「そんじゃ、そろそろ行くかな。」
よっこらせとジジイみたいな言い方をして立ち上がる修人。
あたしはそれをじっと見守るだけ。
何時もならそのまま修人が出ていくだけだったがこの日は違った。
扉の前でじっとしたまま動かない修人。
「どうしたの?」
しびれをきらしたあたしが話しかける。
修人はこちらを見ないままポツリと言葉を発した。
「近いうちに、うちの総長がお前の顔を拝みにくる。」
その言葉にあたしは一瞬固まる。