人こそ美味 part2

唇の両端を吊り上げる。

「嘘だと思ってるでしょ?でも本当よ」

本当な訳が無い。

付き合ったのは昨日だが、秋菜は仕事場から直接この家に来ているのだ。

遺書を書く時間があっても、自宅に置いておくなど…。

「その遺書は捨てるんだね。殺したりなんかしないから」

「そう…。安心したわ。殺人鬼の彼氏の家に行くんだもん。用心しないと」

「恋人はこの家に来てビジネスの交渉をする為の口実なんじゃないのか?」

恋人は悪魔でも設定ではなかったのか?

「その予定だったけど、このまま恋人がいいなって。純君カッコイイからさ」

「人を見た目で判断するのは失敗するよ?」

そう言いながら、監禁室の白い扉を開ける。

「性格はよく知らないけど、悪い人って昔から好きなの」

喋りながら監禁室に入って行く。

「牢屋みたいね。あ、監禁するんだから同じか」

クスリと笑う秋菜。

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