人こそ美味 part2
それはまるで博物館の倉庫を見ている様だった。
「………」
言葉が出ない。
私には刺激が強すぎた。
白い部屋には沢山の鉄製の棚が壁に張り付くように並べられていた。
白い物に赤紫色に染まった物、変色した物に破損している物…。
「驚いた?」
前に居る純が顔だけを此方に向け、困った様に微笑んだ。
「私から買った女をどうしたの…?」
見ての通り純は女を殺している。
女を買ったのだから所有者の純が何をしようと、私には関係無い事だった。
だが、この光景を目にして黙っておけなかった。
「喰った」
少し間があってからだった。
身の危険を感じた。
私だって…女。
純の顔と女の頭蓋骨たちを交互に見つめ、私は無意識に後退りをする。
怯えた私を見て純はクスリと笑った。
でもその目は悲しみの色を宿していた。
「心配すんな。永原の事は喰わねぇから」
私ではなく、頭蓋骨たちを見て言った。
そして今度は体ごと私に向け、言葉を続けた。
「永原は大切なビジネスパートナーだ。お前が居なくなったら俺は飢え死にしちまう。…俺にはお前が必要なんだ」
所詮私は純の輸入道具でしかない。
自分が純に惹かれているのは、前から何となく自覚はあった。