人こそ美味 part2
俺の大切な人
スタンドの光が優しく部屋を照らす。
今まで何人もの女を抱いてきた。
それはセフレでだったり、性欲処理だったり、あとは小遣い稼ぎで体を提供したり。
“気持ちよくしてやる”“気持ちよくなる”という思いだけで腰を動かしていた。
だが今回愛する女を抱いて、初めて“気持ちよくしてあげたい”“一緒に気持ちよくなりたい”と本気で思った。
「なぁ、俺ドSだっただろ」
ニヤリと笑って余韻に浸る雅の髪を撫でる。
「えぇ。あれは猛獣よ」
目を瞑り頬を膨らます雅は、ついさっきの行為を思い出しているのだろうか。
「次は優しくするよ」
そう言って膨らむ頬を突く。
「私…少し焦ってたみたい」
「ん?」
薄暗い部屋に浮かび上がる天井を見つめる雅。
その表情は真剣で、でも何処か不安が混ざっていた。
「不安と嫉妬で気持ちに整理がつかなかったの」
雅は溜め息にも似た深呼吸をして、ベッドに上半身を起こし、泣きそうな顔で俺を見つめた。