人こそ美味 part2
鳥かごの中の私
目を覚ますと私の世界は半分に分かれていた。
右側は黒、左側は白。
そして漂う生臭い鉄の臭い。
慌てて起き上がる。
体中が悲鳴をあげた。
「何これ………」
唖然とした。
私は内側が黒いトランクに膝を折る様に納まっていた。
「何ここ………」
茫然とした。
私は檻に閉じ込められていた。
部屋全体が白く、大きな部屋は茶色く錆び付いた鉄格子で2つに分けられていた。
鉄格子の向こうには何処かに繋がる白い扉が見える。
そして気が付く。
閉じ込められているのは私1人ではないと…。
私が入っているトランクの横で1人の男性がうつ伏せで倒れていた。
「あの…大丈夫ですか?」
トランクから出て、男性の左側にしゃがみ込む。
少し肩を揺すると男性は呻きながら、ゆっくりと体を起こした。
「大丈夫ですか…?」
返事が無いので、もう一度聞いた。
「…なんとか」
自分の膝あたりを見ながら答える。
左手で頭を押さえ、顔をしかめる男性は大丈夫な様に見えない。
「…本当に、大丈夫なんですか?」
「頭を殴られたみたいで…ズキズキ痛みます」
やっぱりこの人も拉致られたんだ。