人こそ美味 part2
俺がまだ永原と手を組んでいない頃、溜まっていて何度か襲おうとしてしまった事がある。
自分で自分好みの女を連れてきてしまったから。
汚して肉を台無しにしない為に、永原に連れて来てもらうようになった。
条件は“細身で俺より若い女性”
この条件に当てはまる女をスタンガンで気絶させ、トランクに詰めて運んで来てもらっている。
「そっか。…で、名前聞けたわけ?」
「あぁ。邪魔が入ったけどな?」
壁に凭れ、嫌味ったらしく言う。
「聞けたんだからいいでしょ!なんて名前だった?」
興味津々で俺に詰め寄る。
……近い!!
「佐々木麻央だって」
恥ずかしくなって、そっぽを向いて答える。
「…今疑問に思ったんだけど、何で名前聞くの?」
俺からすーっと離れる。
「俺にとって女の名前は肉の名前なの。…例えば牛とか豚とか、それって肉の種類の名前でしょ?」
次は永原を見て答える。
永原は納得したのかコクコクと縦に首を振った。
「これからアイツをどうするの?」
「いつもと同じ事」
俺は監禁室の扉の取っ手を握った。
「それを聞いてるんだけど…」
永原の呆れた声を背中で聞く。
「死を見たきゃ…来な」
言い捨て、そのまま扉の中に入った。