人こそ美味 part2
私の仕事
私は休憩時間に更衣室の鏡の前に座っていた。
手にはアンテナを伸ばしたケータイ。
小さな液晶には、いつも見ている男性キャスターが5年前に発覚した事件の事を伝えている。
事件が発覚してから漸く3人目の被害者の身元が解ったらしい。
『大武真弓さん、当時39歳…、、、』
勿論私は大武真弓なんて元舞台女優知らない。
発覚したのは5年前だが、最初の殺人から計算すると約30年前になる。
犯人は目黒修という元心臓外科医。
10人もの遺体がカプセル型の水槽にホルマリン漬けになって、地下室で埃をかぶっていたそう。
犯人は遺書で“芸術を僕のコレクションにしていた”と書かれていた。
人間の欲は限界を知らない。
しばらくニュースを眺めていると、更衣室の扉がノックされた。
「エリカさん、3番テーブルにご指名はいりました!」
扉の隙間から顔を覗かせた青年は私を“エリカ”と呼ぶ。
ここに居る時と客は私をその名で呼ぶ。
「今、行きまーす」
笑顔で返事をし、ケータイを折って自分専用ロッカーに放り込む。