人こそ美味 part2
俺の朝
俺の腕時計の短い針は12時を指していた。
俺は既に新宿にある仕事場で、右へ左へと忙しくテーブルを回っていた。
俺の仕事は新宿にある店で、ナンバー2ホスト“ユウマ”として働いている。
この店は日が出ている間に運営しているホストクラブ。
夜忙しい人や、キャバ嬢の子達が疲れを癒す為の場所。
「お待たせぇ。ご指名ありがとうございまーす。ユウマでーす。久しぶりだね、アリサちゃん」
胸元が大きく開いたエメラルドのドレスを着ている彼女は、俺のお客様。
「会いたかったよぉ。ずっと忙しくて会いに来れなかったの。ごめんね?」
甘い声で謝ると、俺の左腕に細い腕を絡ませ、肩に頭を乗せた。
「謝らないで。会いに来てくれただけで、俺…」
一度言葉を切り、絡ませた彼女の手を取って、その甲にキスをした。
「幸せだから」
「もうユウマったらっ。大好き」
付け睫がバサバサしている瞳に見つめられる。