人こそ美味 part2

俺は絡まれていた腕を解き、彼女の肩を抱いた。

「ねぇ…今夜、どう?」

これで彼女に誘われるのは何度目だろうか。

「今夜は先約があってね。残念だけどまた今度」

今まで一度も彼女の誘いに応じた事は無い。

「ユウマはいつもそうやって誘いを断るわ。本当に先約なんかあるの?」

「嘘なんて吐いてないよ。じゃぁ次、俺に会いに来てくれたらデートしようか」

彼女は目を輝かせて頷いた。

「アリサちゃんは素直で本当に可愛いね。…もっと君の可愛い顔を見ていたいけど、そろそろ俺は行かないと」

ジュースの入ったグラスを持って、フカフカの赤いソファーから腰を上げた。

だが彼女がスーツの袖を掴むから、再度ソファーに腰を沈めた。

「嫌よ。まだ一緒に居たい」

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