人こそ美味 part2
「いや違う。女の肉を喰うんだ」
「冗談やめてください!」
エリカの細い眉がグッと寄った。
「冗談じゃない」
「そんなビジネス、お断りします」
「そっか。それは残念だ。…勿論この事は他人に言うな。アンタ綺麗だから喰ってやってもイイ」
それだけ言うと俺は席を立った。
歩き始めて後ろに振り返った。
「気が向いたら電話くれればいい。俺はいつでも待ってる」
そう言い残し店を出た。
それから数日後エリカ、いや、永原雅から電話が来て契約を結んだ。
そして今に至る。
結局あの話は嘘で、両親も弟も生きている。
永原は単純に金が欲しいのだ。
「ふぁ~もう寝るか」
俺は隣で眠っている蒼井に背を向けて、意識を手放した。