人こそ美味 part2
俺は急いで玄関扉を開けた。
「おはよ」
永原は眠そうな顔で俺を見た。
「仕事帰りか?」
ドレスにコートという格好でトランクを持って来る事は、今回が初めてだった。
「詳しい話は中でするわ」
そう行って永原はあくびをしながら、家の中へ入って来た。
「で、今日はどうしたんだ?こんな早い時間に」
トランクを持って階段を下りながら聞く。
「それがさぁ、帰る途中で偶然見つけたの!公園のベンチで暴睡してたから、そのままトランクに入れて持って来ちゃった」
俺の後ろを歩く永原は「凄くない!?」と何度も聞いてきて煩い。
鉄格子の扉を開け、鍵を閉めてからトランクに手を掛けた。
すると妙な胸騒ぎがした。
開けたら中に蒼井が入っているんじゃないか…。