【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~




――――パタ…



夢の中で温かな“何か”が、痛む頬で弾けた。



直後に、労うように頬をまた温もりが滑る。



なんだろう…これ…。



せめて死んで行く時くらい幸せに…って、神様からのお情けってやつ…?



ふわふわとあったかくてすごく、…優しい。



まるで日だまりの中にいるみたい。



ずいぶんと感じていなかった感覚だった。



なのに、次第にずくずくと酷い痛みが蘇ってきた。



このまま眠ってしまいたいのに、この優しい温もりはあたしの意識を呼び覚ましたようだった。



重たい目蓋が震えるようにしてゆっくりと開いた…






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