【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
「最初はそりゃあもうお優しい方で……。そのうち、あたくしがすっかり元気になると手の平を返したようにそんな顔を出しましたのよ?」
「…っ!?」
目を丸くする花嫁に向かって、大袈裟な溜め息をつきつつ内心動揺しているであろう花嫁にどことなく胸がワクワクしていた。
…根性悪も橙伽様に受け継いだようだわ。
口の端を僅かにあげるあのひねた笑顔を思い出す。
腹が立つのにそれでもいつも懐柔されてしまうのは、あの優しい光のような日だまり色した瞳のせい。
「あの……」
「?」
控え目な問いかけに彼女を見つめて首を傾げる。
姫君は迷っているような素振りをした後、おずおずと話し始めた。
「あの、元気に…って、どこか悪かったんですか…?」
「!」
…予想外の問いに驚いた。