【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
ボロボロで身も心もどうしようもなかったあたし。
「橙伽様を見た時ね、あたくし…花嫁を探しに来たあの人に……『殺してくれ』と頼んだの」
「!?」
「酷い花嫁でしょう?……でも、その時は…それが最善だと思ったのよ。あの優しい色した狼の糧として血肉となれたなら……誰にも必要とされないあたくしにも、存在意義があったのだと思いたかった……」
それを、本気で望んだ。
止まっていたあたしの人生という指針。
その先の未来など、夢見たこともなかった。
針を動かしてくれたのは……
「『僕の為だけに笑って、泣いて、――生きればいい。
君は僕の為に生まれて、僕は君の為に生まれたのだから』」
「!」
――――あたしの狼。