【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
紅と蒼
人生で特別な日ってどれくらいある?
誕生日、記念日…もしかしたら数えられねーぐらいある?
今日は四月十日。
桜が誇らしげに枝を広げ爽やかな風が桜の花びらと共に頬をくすぐるポカポカ暖かな、春。
俺達にとっては、多分人生で一番……特別な日。
「いよいよ俺達の番が来たな!なぁ?蒼(アオ)!」
先日入学したばかりの私立の男子校、一応名門高校の真新しい制服に身を包み、帰り道を足取り軽く歩く。
俺はウズウズ絞まりなく上がる口角を抑えつつ、俺と全く同じ顔をした男を振り返る。
「…紅(ベニ)、少し落ち着け。十六歳になったからってすぐに見つかるとは限らないだろう?」
「…わかってるっつーのー」
テンションの下がるつまんねー返事にぶすくれた返事を返した。
俺と同じ顔のくせして、俺よりも余程落ち着き払ったヤツはすました顔で俺をたしなめる。
青みがかった黒髪が春の陽射しに艶々と輝いていた。
これは…俺と違うとこ。
俺の髪は赤みがかった黒髪だ。
切れ長の二重も、鼻も唇もぜんぶ似てるけど…
髪と目の色と中身は正反対。
それが俺達、真神兄弟(ちなみに双子)。
赤いのが俺、真神紅刃(マガミクレハ)。
青いのが弟、真神蒼刃(マガミソウハ)。
でも通称、紅(ベニ)と蒼(アオ)。