【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~




いつものように授業を受けて、休み時間には友達の話しを聞く。



今日も昼休みのランチタイムに机をくっつけあってお弁当をつつきながらたわいもない話で盛り上がる。



あまり口数の多くないあたしはいつも大概聞き役に回る。



話すより聞く方が性にあってるから人の話しを聞くのは好きだった。



女子校だし、大概が恋バナ。



でも、好きな人の為にキラキラ輝く女の子達の姿は目映くて可愛い。



そんなことに疎いあたしには提供する話題もないし…。



…初めてのそんな感情が得体の知れない喋る狼に対しての激しいあんな感情なんてね…。



言い知れないモノに、ふ…と小さく溜め息が漏れた。



「…で、どうだったの?紫衣の初合コン!」



「……。」



今日はよりによってその話なのね…。



期待に目を輝かせる友達からそっと目を反らす。



「どうもこうもないよ!紫衣ってば行かなきゃ!っていなくなっちゃって、犬と逢ってたんだから!」



引き受けてくれたのは言わずと知れた希空だけど…何か違う…。



周りからは「なにそれ!?」「意味わかんない!!」の嵐だ。



だけど希空が強引に話を終わらせてしまい、うやむやなままこの話は終了してしまった。



希空も含めてみんなには気持ち悪いものが残っただろうけど、



きっとあたしの様子を知って気を利かせてくれたであろう希空に感謝せずにいられなかった。








< 12 / 121 >

この作品をシェア

pagetop