【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
無事に授業を終え、放課後になった。
いそいそと机の中から教科書なんかを取り出し、スクールバックに詰める。
今日は持ち帰る物が多くて、しっかりと詰まったバックは重そうだ。
いつも一緒に帰る希空はどこかと教室内をキョロキョロと見回した。
「すごい……!ありえないレベル!!」
「ちょっとぉ~~!誰が待たせてんの!?」
「……?」
そんな浮き足だった声にそちらを見れば
…なにやらクラスのみんなが興奮ぎみに窓に張り付いていて…その中に希空の後ろ姿も見つけた。
「みんな何を見てるの?」
希空に話しかけると頬を紅潮させた希空が勢いよく振り返った。
「紫衣…!!あそこのアプローチのとこでめちゃくちゃイケメンが立ってんの……!!
見なきゃ損だよ!!」
「………。」
女子校の前に男の子なんて勇気ある…。
男の子とあまり接触のない女の子達の好奇の目に晒されるのは目に見えているというのに。
みんなとは違うところで感心しているあたしには、それほど興味ないもののグイっと腕を引かれその輪に加わった。
「紫衣はめちゃくちゃ目もいいんだから、顔がどんなかはっきり解説してよ!!」
「………。」