【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
解説云々は置いておくにしても、せっかくだからそれほどみんなが騒ぎたてるイケメンを見てみようと…視線を下ろした。
教室から遠く離れた校門のところで、一人の男の子が立っていた。
向きを変えてしまったのか、あたしからはスラリとした後ろ姿しか見えなかった。
今どき珍しいくらい真っ黒な髪の男の子だ。
ずいぶんと背が高い。脚の長さに驚いた。
ブレザーが主流の今、彼が纏ったあの珍しい黒い学ランはここから少し離れた所に建つ男子校のモノだと気がついた。
…偏差値が驚くほど高いこの辺では有名な私立校だ。
みんなが騒ぐのも納得した気持ちになった。
後ろ姿だけだというのに…驚くほど、彼は目を惹いた。
纏う……雰囲気というか、その…醸し出されるオーラと言うのか。
常人とは違うとすら感じさせる…何かが…彼を取り巻いているかのように……。
思わず、大きな学校の窓ガラスに手をあて…じっとその姿に目を凝らすように釘付けになった――
――――その時だった。
まるで見計らったかのように、
彼がゆっくりと振り返り……
「………。」
「……!!!」
…その素顔を、見せた。