【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
そして
見下ろす彼の唇が、ニィと不適に弧を描き…印象深い夜色の瞳がまるでいたずらっ子のようにキラキラと輝いた。
「……早く来い!」
「……っ!!」
よく通る美声が鼓膜を震わせた。
踏み出した一歩に長い髪が踊った。
「紫衣!?」
「行かなきゃ……呼んでる……」
あたしは、驚く希空や彼に黄色い悲鳴をあげるクラスメート達のことも目に入らず…
彼だけを見つめ、夢中で駆け出した。
「今、あの男の子なんて言ってたの!?」
「何言ってるのよ、希空。こんな離れたとこからめちゃくちゃ大声でも出さなきゃ聞こえるわけないでしょ?」
「…っ、何が聞こえたの…っ?嘘でしょ…紫衣……!!」