【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
「どうした……?」
唇を噛みしめ、俯いたあたしを…心配そうな声が呼ぶ。
「紫……――!」
すがるように黒い制服を掴んだ。
あげた顔から溢れた涙が……頬を流れ落ちた。
大きく見開かれた黒い瞳と、あたしの瞳がぶつかった。
「どう…して……?なんで…こんなこと……思うの……っ?」
制服を掴む手に、力がこもる。
「紫…衣……?」
あたしの名を呼んだ彼の声が……引き金…だった。
「…ぁ……逢いたかった……!逢いたかったの……!
あなたに…っ!
逢いたくて堪らなかった………!!!」
まるで決壊したダムの如く溢れ出る……想い。
狂おしい
狂おしい
狂おしい
…なのに…たまらなく、……甘い。
――――胸の奥が、あなたでいっぱいなのよ。