【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
「……ぅ…っ…く……!」
嗚咽を漏らしながら、ドンッと…弱々しい力で、すがりついた固い胸を打った。
意味のわからない八つ当たりのようなその拳を、彼は黙って受け止めた。
「わからない……!」
「………。」
叫んで、また一つ…胸を打った。
もう一度腕を振り上げたあたしを
「………うん。」
「……!」
たった一言の優しい頷きと、温かな腕が…
包み込むように、身体に巻き付いた。
その、…刹那
「……逢いたかった………!!!」
「……!!」
そう言って痛い程に抱きしめられた時
渇いた砂が水を吸い込むように…
やっと満たされたような…この気持ちは……何なのか。
きっと、あなたと…あたしだけが知ってる……。