【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
花のような君―side華夜―
――華夜――
折れそうな程儚く華奢な身体を抱き締めた瞬間…
触れ合った肌から染み渡るかのような幸福感を覚えた。
紫衣から放たれる甘い花の香りがより濃密に漂い、吸い込む俺の頭を痺れさせる。
それでもなんとか切れそうな理性を必死に呼び戻し、そっと…きつく抱き締めた腕をほどいた。
「………。」
「……!」
涙で濡れた頬を両手で包み込むと、愛しむように親指を滑らせ涙を拭った。
…濡れて潤んだ紫色の大きな瞳は、さらに魅力的に輝いて俺を魅了した。
「…ずっと…ずっとずっと…探してた。」
「……ぇ…」
柔らかな頬をあやすように親指で撫でながら、俺を見上げて揺れる瞳を見下ろした。