【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
新たなる夜の始まり
「やだ…っ!速い…っ!!」
あたしは重さなんてまるで感じていないようにあたしを抱いたまま走る彼の首に必死で掴まっていた。
移り変わる景色の速さに目も開けていられない。
…もはや半泣きだ。
それなのに
「速くしたらぎゅーってなるから、もっと速くしてぇなぁ。」
「…!?…ちょっ……ぃやぁぁぁああ!!!」
そんなことはまったく通じないこの人は、ニヤッと笑ったかと思うと本当にまたぐんぐんとスピードをあげて走り出した。
まるで子供そのものよ…!
叫ぶあたしの声すら面白がっているように、声をあげて子供みたいに笑ってる。
「い…いい加減に……!」
…しろ!…そう怒鳴ろうした…次の瞬間
「……!」
しがみつく肩がピクリと震え
彼の顔つきが笑顔から嘘のように厳しいものへと、変わった。