【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
「……。」
「やっぱり…何かあるの?」
また不意に立ち止まり、後ろを見つめる彼に言った。
「……いや。早く帰ろう。」
ふるふると頭を振って、気を取り直すようにニコッと笑顔を見せた。
――――次の瞬間
「……!ちょっと…っ」
きつく…抱き締められて
驚くあたしの髪に顔を埋めた真神くんは
「ずっとずっと……一緒だからな……?」
「……!」
胸が詰まってしまいそうなまるで彼らしくない…小さな声で…囁いた。
あたしはドキドキするばかりで
あたしの髪の中に隠れてしまった彼の顔が…
苦しそうに歪んでいたことに……気づかなかった。
――――『いずれ……迎えに来ようぞ……』
…end
【夜色オオカミ―朔―】
近日、始動――
暫しお待ち下さいませ…
矢野知兎