【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
「おや…酷い方が好きだろう…?」
「……っ!!」
カッと赤に染まる頬を笑って一撫でした。
「私を加減させぬおまえが悪いんだよ。」
「……っ…本当に酷いお方…!結局ぜんぶあたくしのせいに……
……!」
むくれる頬にキスを落として…はだけたシャツの釦をとめながらサッと立ち上がった。
ネクタイを締めつつスーツの上着を手に取る。
額に落ちた前髪を手櫛でかきあげ整えながら…赤い顔を流し見る。
「そういう私が好きではなかったのかな…?陽世(ヒヨ)は。
それではまた後で逢おう。……私の《花嫁》。」
「………!」
そうして彼女を一人残して部屋を出た。
ピシャリ閉めた襖の向こうから
「(橙伽様の馬鹿ーー!!!)」
「……。」
それを背に受け、笑いを堪えながら廊下を進んだ。
あの可愛い人が…私、真神 橙伽の《運命の花嫁》…
名を、真神 陽世(マガミ ヒヨ)。
「(…でも、そんな貴方が好きで悔しい!!)」
「……!」
ね?
――――可愛いでしょう…?
(…単純で。)