【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
視線を戻すと、パソコンの液晶を難しい顔で見いる若君の姿…。
17歳…なのだ。
本来ならば、学校に通い友と時間を共有し…
それなのに、彼が子供でいられた時間は瞬く間に無くなった。
ほんの数ヶ月前の忘れられぬ出来事も彼を急速に大人へと変えたことも事実。
社会への早い関わりも真神家の次期当主として当然のこと。
…けれど、
それに…どこか切ないものが込み上げた。
「…なんだよ?」
不躾な視線に気づいた彼が首を傾げて私に問う。
その険しい目付きは『何を企んでやがる?』…とでも言いたげで苦笑が漏れた。
「いいえ。
ずいぶんと、成長なされたと思いまして…」
「……!」
少し俯きながらぽつりと呟けば、予想外だったのか目を大きく見開くとわかりやすく驚いた顔をした。
成長が嬉しく感じると共に、……切なくもある。
この複雑な胸の内は
教育係として…無邪気で幼いあの頃を知っているからかも知れない。