【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
二年と言えば出逢いには個人差があると言えど、すぐに見つかる者もいる中でかなり出遅れている方なのだろう。
でも正直に言えば、自分としてはあまり焦ってはいなかったのだけど…
口を開けば小言のあの父が…無言の圧力をかけてきたことには少々参った。
『…さぁて、どこにいるのかな…僕の花嫁は…』
空を見上げれば夏の強い日射しに眼鏡ごしの瞳をすがめた。
それでもやはりあまり焦りのない自分。
何故なら自分達人狼には《直感》がある。
誇るべき力が。
“その時”がくれば…きっと、わかる。
閃くのだから。
…そんなことを思っていた。
…どこにいるのかわからぬ花嫁が、この時どんな目にあっているのか知りもしないで。
後に、そんな自分を殺してやりたいと思うほど後悔する事になるなんて…思いもしないで。
暢気で馬鹿な自分がそこにいた。
――――力を過信し、何も解っていなかった……愚かな人狼が。