【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
自慢気に胸をそらせた彼の小さな手に乗っかったモノ。
『…これは、なんと言うかその……随分と高価そうに見えますね……。』
明らかにダイヤモンドと思われる大きな石の填まった…プラチナの輝きを放つネクタイピン。
誰の持ち物を“くすねて”来たのか…今までのモノとは桁違いの代物に思わずゴクリと唾を飲む。
価値などあまりわかってもいなさそうな子供は、にぱっと可愛らしく笑った。
『さすが橙伽。これじいさんのヤツ。』
『!!?』
彼が気楽にじいさんと呼ぶ人物…それはつまり………
…当主……!!!
よりによって夜一様から盗ってきたのか…?
あり得ない…出来れば嘘だと言って欲しい。
それなのに悪ガキは更にとんでもないことを口にした。
『今日はコレを庭にぶん投げて隠せ。
俺が《直感》で見つけてやるから!』
『……は?』
――――誰かいっそ夢だと言ってくれ。