【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
一週間前
暇だ!遊べ!とせがまれた僕。
正直、ちょっと面倒だな…と思ってしまい
―『では、若様。これは《直感》を極めるための修行です。
……ほ~ら、捕ってこーーい!』
放り投げたのはその辺に転がっていた小石。
単純…いや、素直な彼は嬉々としてこの“修行”に食いついたのだ。
それからというもの
小石だ小枝だと投げていたモノは、
すっかり味をしめた彼が更なる危機感(つまり見つかれば地獄を見る目に合う代償を伴うこと付の)を出す為に
従兄弟の灰斗の宝物のオモチャから始まり…父親の雪夜様の私物などをコソコソと盗ってきては僕に投げさせ“修行”に勤しんでいたのである。
雪夜様は得に気にした様子はなかったが、灰斗は泣きわめいて探し回っていた…。(因みに年期の入ったくまのぬいぐるみ)
そして、遂に当主のモノを持ってきたか……。
『橙伽!投げるのおまえなんだから、見つかったらおまえも同罪だからな!!
そん時は俺と一緒にじじいに謝れ!!』
『……。』
しかもこずるい…。
無理矢理握らされたネクタイピンをゆるく持ち、思わず遠い目をして溜め息をついた。
その場しのぎのずるい行動は…とんでもない代償を持って僕に返ってきたというわけだ。
これぞまさに、自業自得……。
無垢でいてへたに頭の回転のいい子供を騙すものじゃない。