【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
とにもかくにも今さら反省したところで後の祭と言うわけで…。
落ちた場所を見ないように手で目を覆い、後ろを向いた細い背中をチラリと見た。
『~~っ!』
『……。』
そわそわと落ち着きない様子は、ワクワクってその背に書いてるようだ…。
グッとブツの入った拳をきつく握りしめ…はー…と息をついた後
覚悟を決めた。
彼が言ったこと忠実に思いっきり―――ぶん投げた。
『~~…よしっ!!探すぞーー!!』
若君は軽い身のこなしで少し高くなっている屋敷の庭に面した板張りの廊下からピョーンと飛び降りた。
興奮した彼の耳はピンと尖った黒い狼の耳になり、ふさふさとした黒い尻尾もぶんぶん振られていた。
僕は庭を見下ろしまた固唾を飲んだ。
真神家は整えられた庭園が多いなか、父のこの屋敷の庭園は自然はあるがままが美しいと言う母の為にうっそうとした森のようにわざと整えた庭だ。
…だからこそあの子はわざわざここにブツを持ってくるわけだが…。
今回ばかりはシャレにならない。
頼むから見つけてくれと思わず祈っていた。