【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
「昨日、紫衣の誕生日のために色々セッティングまでしてたのに!
いきなりいなくなるんだもん!
記念すべき16歳の誕生日なのよ!?
めっちゃくちゃモテるくせに男の子に興味もみせない紫衣のためにイケメン勢ぞろいさせてたのにぃぃぃ!!」
「……っ」
恨めしげな声がさすがに耳に痛い。
誕生日を祝ってくれるのはありがたかったけれど、まさかの男の子付きだとは知らなくて男の子が苦手なあたしは尻込みしていたのは本当だけど…。
「ごめんなさい、希空…。何か…行かなくちゃいけない感じがして…」
「……!」
希空に申し訳なさが募って深く頭を下げた。
ちょっと考え違いもあるけど、純粋に誕生日を祝ってくれようとしてくれていたのだから…。
いきなり置いていかれた希空は戸惑ったに違いない。