【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~




ジージーとけたたましく蝉が鳴く。



今日も30度を超える真夏日だ。



僕はいくらか涼める庭の池のほとりに建つ四阿(しあ=あずまや)に置かれたベンチに座り、テーブルに肘をつき頬杖をつきながらガサガサとあちらこちらで揺れる木立を追っていた。



この暑いのに子供はどうしてこうも元気なのだろうか。



時折ぴょこっと頭が覗き、なにやら難しい顔で集中しているのが見える。



こめかみからつたう汗を拭うことも忘れ瞳を閉じている。



既に服も靴も泥だらけだ。



それでも彼はそんなことを気に止める様子はまるでない。



そしてまた黒い瞳を輝かせガサガサと木立をかき分けていく。








その姿は……真剣そのものだった。









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