【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~




「でもさ、いったい何だったの?

あの時の紫衣、普通じゃなかったからさぁ…」



すっかりいつもの調子を取り戻した希空が下駄箱にローファーを押し込みながらあたしを見上げた。



あたしより少しだけ身長の低い希空を見下ろしながらギクッと思わず身体が強張った。



だって説明のしようがない。



まさか喋る狼にいきなり『子供を生んで』と言われただなんて…いくら希空だってふざけてると思われそう…。



「えっと…急に、その…」



「急にぃ~?」



しどろもどろなあたしに鋭い親友は、ちょっとつりあがった大きな瞳を怪しむようにぎょろりと動かした。



あっけらかんと明るい性格の希空だけど、好奇心はとても強いから…ただでさえ隠し事の苦手なあたしが希空に黙っていることは難しい。



でも、本当に説明のしようがないわ…。









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