【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
『……名前は?』
『ぇ…?』
思いもよらない僕の質問に、彼女は閉じた瞳を再び開き…僕を見た。
『聞いてなかったから。君の名前は?歳は?』
『えっ?』
『だから君の名前と歳。』
今までの話を聞いていなかったかのごとく脈絡のないことを笑顔で問う僕に、彼女は困惑したまま勢いに呑まれるように口を開いた。
『えっ…その、…ひ…陽世(ひよ)…です。と、歳…は、14……』
『あぁ、小学生ではなかったんだ…ちょっと安心したよ。』
『…は?』
一人ぱちぱちと目を瞬く彼女に正直な気持ちが出ると、間抜けな声を出した彼女が可笑しくてクスクスと笑った。