【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
ただ“はい”を繰り返し、怯えた目をして顔色を伺ってばかりだった陽世…
『……ほほ~ぉ』
ニィと口角が自然と引き上がる。陽世がわかりやすく顔色を変えた。
『……!い…嫌だっ!嘘ですわ!?橙伽様は仏様よりお優しいですものっ!……あ…!』
焦る陽世の細い顎を指で掬う。
僕を見上げる瞳は潤み揺れた。眉を寄せ、頬を羞恥に朱に染めた顔は…美しい。
『……ッ』
白い喉元がコク…と上下する様に背中がゾクと震えたのは、
『……正直なおまえが、僕は大好きだよ。
さぁ、後の言い分は床で聞くとしようか…?』
『ぁ…ッ…ァ…あ…!』
『いや、それまで待てないな…』
――――僕がケダモノだからかな……?
陽世…笑って、泣いて、我が儘も言って…あるべき君を、全て…見せて。
僕の傍で、君は日々感情を豊かにする。
今は、そうだね……
『…さぁ、イイ声で……お鳴き…?』
――――君の可愛い“鳴き声”が聞きたい。