【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
『あぁ…赤くなってしまったね…。畳に擦れてしまったか…やはりここでは悪かった。』
僕によって剥ぎ取られた自身の着物の上に、うつ伏せに寝る陽世の裸の背をなぞり、赤く火照る肌に僕は顔をしかめた。
『別に、構いません。』
きっぱりと言い切る陽世に苦笑する。
『僕は、おまえを前にすると歯止めが効かないのだから…おまえが教えてくれなければね。
少しでも傷などつけたくない。それに…痛いだろう?』
『……』
陽世はそれに返事をせず、黙り込んでしまった。
『…どうして橙伽様は、あたくしにこんなに良くして下さるの?…花嫁…だからではあるのでしょうけど…その…』
代わりにそんなことをどこか言いにくそうに口にした。
『へぇ…僕は優しかったかな…?
随分と激しかったように思うけどねぇ…』
『……ッ!!ち…違…っ』
答えをはぐらかし、ツゥ…と艶かしく赤くなった背中の浮き出た背骨をなぞりながら笑む僕に、陽世はヒクと震え更に肌を染めた。