【番外編】夜色オオカミ~愛しき君へ~
――…
「雨…あがったな」
「!…えぇ、そのようですね」
嬉しそうに呟かれた声にハッとして空を見上げた。
暗い雲の間から光の筋が入り、ここから見える庭園の雨に濡れた草花を輝かせていた。
次第に光は広がり、明るく輝く世界は美しかった。
暗闇を照らす温かな光
陽世、
遠い過去…暗闇ばかりを映していただろう君の見る世界は今、私の隣でどんな色を映しているのだろう?
願わくば…
おまえに出逢えた私のように、この美しい世界を見ていることを―――
「……。若様、とっとと終わらせて頂けますか?」
「あぁ?」
「私も早く花嫁に逢いたくなりましたので」
「サラッと言いやがって…!この野郎が!!」
「無駄口は時間が勿体無いですよ?後一時間以内に全て終わらせて頂きますので」
「!?てめ…っ!目がマジじゃねぇか!?」
「私はくだらぬ冗談は好みませんよ。…さぁ、お早く」
「~~っ!!」
私はね、君の傍ならば全ての時が美しい色を映しているよ…。
――――それが例え、暗闇だろうとも。