Give Me Smile―新撰組と氷姫―





まあ、どうでもいいか。

話が終わったのならば、それはそれで好都合だし。


斎藤さんに軽く会釈をすると、一言声をかけてから、土方さんの部屋へ入る。



「……神崎です。失礼します」


「あ?どうした。俺は忙しいんだ。さっさと用件を言え」



真面目に聞く気がないのか、書類整理をしながら聞いてるみたいだ。


あたしからしたら、質問に答えてくれるだけでいいので、あまり気にせずに質問していく事にする。



「……先程、雪さんから外出禁止を取り消された…と聞いたのですが。何故ですか?」


「…あの野郎、盗み聞きしやがったな…」


「……?」



あの野郎?って雪さんの事?

土方さんは忙しなく動かしていた手を止め、こちらに体を向ける。



「ああ、さっき取り消した。本当は、今晩に言うつもりだったんだが…雪の事だ。どうせ盗み聞きしてたんだろ」


「……そうですか。では、何故ですか?…あたしの…間者の疑惑はまだ晴れていないと思いますが」



話しながら、思う事がある。


この世界では『神崎千春』というデータが1つも無いんだから、疑惑が晴れる事は決して無い。


なら、どうしてまだそんなに日数は経っていないのに…外出禁止が取り消されたのか。





< 152 / 266 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop