Give Me Smile―新撰組と氷姫―
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小学6年の冬。
最愛の母がこの世から消えた。
原因は、心筋梗塞。
(…あれ、あたし…)
また夢みてるんだ。
今度は、ふわふわ宙に浮いていて、何故だか自由自在に空が飛べる。
『ねー、千春』
『なに?千香』
『どうして、お母さん死んじゃったの…?』
『それは…』
葬式が終わり、会場には誰もいなくなっていた。
だけど、あたしと千香だけはお母さんの冷たい体の前から動かなかった。
……いや、違う。
動きたくなかったんだ。
『千春頭いいじゃん!千香にも教えて!教えてよぉ…っ!』
『…「しんきんこうそく」だって。お母さん、病気だった、って、向こうの人言ってた』
『なにそれ?お母さん、勝手にいなくなっちゃう、なんて…ずるい…っうぅ…』
千香の目から、とめどなく大粒の涙が溢れてくる。
式の最中は全然泣かなかったのに…、やっぱり我慢してたんだ。
千香の体をギュッと抱きしめると、制服に大きな涙の跡を作っていく。
『千香…、千香。泣かないで』
『ふぇぇっ…なんで?っなんでぇ?…千春…っ』
涙が止まらない千香を見ていると、あたしも泣きそうになってくる。
──お母さんが、死んだ。
その事実が、まだあたし達姉妹には受け止めきれなくて、あたしも静かに涙を流した。