Give Me Smile―新撰組と氷姫―
面倒くさい。
どうして、この子達と外で遊ばなきゃいけないの?
(……メリットがない事は嫌いだわ)
「ねね、お姉ちゃん!何して遊ぶの?」
「……遊びません。あたしはまだ仕事が残っているので」
「やっぱりお姉ちゃんも忙しいもんね…」
あたしがキッパリと言い返すと、兄弟達はしょんぼりとした表情になった。
それを見て、少し罪悪感が募ったけれど、あたしは仕事中なのだから遊ぶわけにはいかない。
だって、これは仕事。
もしこんな処で休んで帰りが遅くなったりしたら……、あたしの仕事が増える。
主に、雪さんが原因で。
雪さんの失敗の数々を思い出し、またため息を吐きそうになった時、名無しさんが口を開いた。
「えぇ、別にいいじゃん。お嬢さん、あとはもう1人の女中に任せたら。
…ああ、無理か。あの子すっごい不器用だもんね。お嬢さんも困っているんでしょ?」
「………はい。困っています」
(………おかしい)
でも、取り敢えず肯定しておいた。
名無しさんは、何故あたしの職業を断定できるの?
何故、女中がもう1人いる事と雪さんが不器用な事を知っているの…?
意味がわからず、魚を持っている手が冷たくなってきた。