Give Me Smile―新撰組と氷姫―
この話し合いが終われば、きっと名無しさんはまたあたしの事を調べるだろう。
きっと、徹底的に。
だけど、それは別にかまわない。
この時代に、あたしの情報なんてないのだから。
「……2つ目の質問、してもよろしいでしょうか?」
「…ま、いいや。何?」
名無しさんの気が変わらないうちに、あたしは2つ目の質問を問い掛ける。
実は、この質問があたしにとっては1番重要で。
そして、危険を伴うリスクが高くなる。
「………
…名無しさんは、何故、新撰組のいち女中であるあたしを…、そこまで詳しく調べたのですか?
その必要性及び目的を、教えて下さい」
「………」
あたしが言い終わると、名無しさんは完全に笑みを消し、無表情になった。
生唾を少し飲み、着物の裾をギュッと握る。
空気がピンと張り詰め、息が少し苦しくなった。
(……何、この威圧感…。足がすくみそう…)
「………」
「………」
十分な沈黙が続いた後…、名無しさんは静かに口を開いた。
「……お嬢さんは、その必要性とか目的を聞いて…一体何がしたいの?」
何がしたい…?
あたしは、何がしたいのだろう?
今までそんなこと、考えたこともなかった。
ただただ、生きるのに精一杯だったから。