Give Me Smile―新撰組と氷姫―
土方さんがポツリと呟く。
「さて、からかうのはこれくらいにしとくか」
え、これでからっかてるん!?
ちゃうわ、絶対にうちのこと苛めてたっ!
抗議しようと顔を上げると、また不敵な笑顔がそこにあって…。
「雪?」
「…何にもないですっ!」
そんな笑顔で、しかも名前なんか呼ばれたら抗議なんてできるわけないやん!
また下を向いているうちを見て土方さんが笑いを堪えていたとか、うちは知らん。
───
─────
「いいか、これから任務内容を言うぞ」
「はい、任せて下さい」
正座をして、いつもより背筋を伸ばす。
隣同士やったけど、今はちゃんと向かい合わせで距離を開けてる。
こっからはふざけてられへんし、失敗なんか出来ひんししたくもないから。
「この任務は監察方とやってもらう。お前の協力者は1人だ、上手くやれよ」
「わかりました」
「とりあえず、紹介しておくか。…山崎、入ってこい」
土方さんの言葉に、障子が音もなく開き1人の男が静かに入ってきた。
(うわぁ…何をどうしたらあんなに静かに入って来れるんやろ?)
背は高めで、髪は短髪。
斎藤とは違う静かな雰囲気があるなぁ。
斎藤さんは、知的。
この人は、冷静…?
「副長、失礼します」
「ああ、座ってくれ」
そして、うちの隣にこれまた静かに腰を下ろした。
…どないなってんの!?