Give Me Smile―新撰組と氷姫―
結婚式といえば、大好きな人との誓いをするべき場所だと思う。
でも、あたしの結婚相手は14歳年上。つまり、30歳を迎えたオジサンだ。
バージンロードを、知らない人とゆっくり歩く。
あたしのお父さんは、顔も知らない。あたしが生まれてすぐに亡くなったらしい。
お母さんは、あたしが小さい頃に亡くなった。そのせいか、記憶が朧気で思い出せない。
母方のお母様も、忌々しい姉の娘が家から消えて、きっとせいせいしているだろう。
「―…汝は、病めるときも健やかなるときも―…」
神父さんの声が、教会で静かに響く。
あぁ、もう本当に死んでしまいたい。
「―では…誓いのキスを」
無理矢理、オジサンと向かい合う。
やだ、嫌…!
キスなんて、こんなにメタボで、全身脂ぎってる人としたくない。
でも、オジサンはニヤニヤしながら近づいてくる。