Give Me Smile―新撰組と氷姫―
「こら、戻れ!」
「……離して、下さい…!」
何人もの人達を振り切って、出口へと向かう。
出口まで、あと数メートル。
あと、あともう少し…!!!
ガチャッ…!!
ドアが開いた。
ううん、あたしが開けたんだ。
希望の光が、見えたと思った。
やっと、あの人達から逃げ出せる…と思ったのに。
「…嘘…」
生憎、外の天気は雷雨。
走っていくにつれて、ドレスが重たくなり、脚に張り付いてくる。
「…はぁっ…はぁっ…」
神様は、こんな時まであたしを見放すのか。
それほど、あたしの犯した罪は、大きいんだ。
「…待て!待たんかっ…!!」
だんだん、体力が無くなってくる。
もともと、そんなに体力があるほうではなかった。
右に曲がったり。
左に曲がったり。
道路をウェディングドレス姿で走っているあたしは、すごく目立っていて、次第に野次馬が多くなっていた。